目次
イギリスに花留学をしてみたいけれど、日本で学ぶこととの違いが気になる――そんな方のために。
これまでに11回イギリスに渡英し、現地でフラワーアレンジメントを学んできた私が、日本とイギリスの教育スタイルや花に対する考え方の違いをわかりやすくまとめました。
花を学びたい方や、将来花の仕事を目指す方の参考になれば幸いです。
イギリス花留学|イギリスのフラワースクールについて

イギリス花留学 制作風景
イギリス人がフラワーアレンジメントを学ぶ理由
イギリスの人がフラワーアレンジメントを学ぶ理由は、3つのタイプに分けられるようです。
1.フローリスト(花仕事に携わっている人)
すでに花の仕事をしており、スキルアップや次回の仕事に生かすために学んでいます。
2.キャリアチェンジを希望する人
現在の仕事を辞めて、フラワービジネスに挑戦したいと考えている人。
3.趣味として学ぶ人
「一度習って見たかった」という理由で参加する人もいますが、イギリスではこういう方の割合は少なめです。
これらのことからも、イギリスのフラワースクールは「花を仕事にする人、または目指す人」が中心であることが分かります。
イギリスの主なコーススタイル
イギリスで用意されているレッスンスタイルをご紹介いたします。
①フリーデイコース
日本では体験レッスンにあたります
②キャリアチェンジコース
1ヶ月コース/2週間コース
③スキルアップコース
1day~1week ウェディングやラージアレンジなど
④宿泊・食事付きのツアーコースレッスン(リトリート)
郊外の素敵な場所で受講する人気のスタイル
イギリスと日本のレッスン比較

郊外のコテージでの講習風景
教育に対する姿勢の違い
イギリスでは
先生は初めに大枠を示し、生徒は自主的に考えながら制作することに挑戦。初心者でも、フロ-リストと対等に意見交換をする場面も多く、主体性が重視されます。
学ぶ場に遠慮はいらないという考え方のベースがあるように思いました。
日本では
徹底的に基礎を学び、正確な形を繰り返し習得。その後に応用デザインへと進みます。真剣に学ぶ姿勢が評価され、積み上げ式で成長していくスタイルです。
これは良い悪いという話ではなく、国ができてきた過程で培われてきた文化と言いましょうか、
受けてきた教育のスタイルや国民性も反映されているといっても、過言ではないでしょう。
レッスンの進め方とデザインに対する考え方
イギリス:「フラワーアレンジメントはデザインである」
1回ごとの制作で感覚やセンスを磨き、チャレンジ精神を大切にします。
日本:「フラワーアレンジメントは技術である」
同じ作品を繰り返し練習し、基礎技術を固めることで大作や複雑なデザインへつなげます。
日本には華道がもともと存在し、時間をかけて身に付ける技を伝承して、継承できるものとして認識してきました。
1960年代に日本が本格的にフラワーアレンジメントを導入したとき、ドイツのマイスター制度を手本したことから、フラワーアレンジメントは技術であるという考え方が浸透したと思われます。
キャリアチェンジの特徴
イギリスでは
花市場同行、仕入れ・原価計算、写真・SNS活用まで実践的。卒業後は自己責任で自由にビジネス展開するスタイル。インスタグラム+サイトでの情報発信が主流です。
日本(例:フラワーワークスジャパン)
技術認定や知識習得に加え、集客や仕入れ、経営の基礎を学ぶセミナーを提供。開校後もランチミーティングなどでサポートを継続しています。
花に対する美意識の違い
イギリスでは
咲いている状態から散り際が美しいと捉える。コンディショニングも習いますが、日本ほど「長持ち」にこだわらない。
水切りなどはあまり知られていないようです。
日本では
つぼみから満開になった頃が一番美しいとされ、花を長く咲かせる技術や知識も重要視される。四季の花の扱いも重要。
イギリスで学ぶか日本で学ぶか

スクール最終日のディナー
どちらにも文化や教育の特色があります。大切なのは
・なぜ花を学びたいのか
・なぜ花を仕事にしたいのか
をよく考えること。その上で、自分の性格やライフスタイルに合う学び方を選ぶのがおすすめです。
日本人がイギリスのスクールに通う場合
・すでに一定のスキルを持つ方は無理なく学べます。
・初心者でも、度胸と語学力があれば挑戦可能です。
いずれにせよ、十分なリサーチと準備が欠かせません。
おわりに
どちらで学ぶにしても、決めたら前に進むことが大切です。
日本で基礎を学んでからイギリスに行く、またはイギリスで体験してから、日本でスキル学ぶのも良い方法だと思います。
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参加資格はアトリエフィーズに所属かつFWJ会員の方限定です。次回は未定です。
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谷川 文江(たにがわ・ふみえ) 株式会社アトリエフィーズ代表取締役。一般社団法人フラワーワークスジャパン代表理事。京都芸術大学芸術学部デザイン科卒業。同大学院芸術研究科修士課程修了。ファッションデザイナー、雑貨デザイナーを経てフラワーデザインを国内外で習得。1996年フラワースクール「アトリエフィーズ」を設立。2000年兵庫県西宮市に自らの設計素案・デザインにより、イギリスのゲストハウスをイメージしたフラワーサロンをオープン。2013年フラワーワークスジャパンを設立し、講師の育成にも力を注いでいる。「花とインテリアを通じて暮らしを楽しむ文化を創造する」を理念に幅広く活動中。著書に『切り花を2週間長持ちさせる はじめての花との暮らし』、『狭くても心地良い空間づくり はじめての極小ガーデニング』(共に家の光協会)がある。雑誌の連載、取材多数。3児の母。子供たちはみな成人し、定年後カメラマンとして活動する主人と3人暮らし。
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